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壁画「マンボー名駅店」
名古屋市中村区太閤1丁目23-11 マキノ弘洋ビル1F
052-459-6040
近くに、マンボー「名駅本店」もあるので、お間違えのないよう!

1階から3階の階段に描いてあります!!

制作過程

 

写真をクリックするとアルバムに飛びます。

SlideShow
3階から1階まで歩いて降りるイメージで写真撮りました!

壁画に込められた物語

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「深海のまやかし」

遠い遠い昔、ずっとずっと奥深く、闇が支配する海の底に、ノトという名前の少年の人魚がいました。ノトは一人の少女に憧れていました。それは岩に描かれた人魚の絵。見る事しか出来ないけど、ノトには彼女の姿を毎日毎日見つめ続けました。

 

月日は流れ、少年は青年になり、いつしか憧れは恋心に変わっていました。少年は見つめるだけではなく声を聞きたい、触れてみたいと願うようになりました。

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ある日、いつものように岩に来たノトは小さな声を聞きました。
「助けて。。。」それは岩から聞こえてきます。よく見ると彼女の口が少し動いています。

ノト「え、今のキミが話したの?」
「ええ、、、、私はサハルナ。遠い昔この深海を守る人魚一族の娘でした。しかし突然襲ってきた深海魔のドーガンバグザとの戦いに破れ、捕われ、岩にされてしまったのです。」
ノト「じゃ、キミは、、えっとサハルナは元々生きてたんだね!もしかしたら、また動けるようになるかもしれない。ぼく、ドーガンバグザのところに行ってお願いしてみるよ!そいつはどこにいるの」
サハルナ「ここから東のトンネルの奥にあるまやかしの岩場の一番高い岩が彼よ。けど、危ないわ!」
ノト「大丈夫だよ。僕はサハルナが動く所が見たいんだ。そして、、いや、とにかく必ず僕が助けるから!!!!」そういってノトはまやかしの岩場に向かいました。

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トンネルをくぐり、まやかしの岩場に着いたノトは宝箱を見つけました。近づき触ろうとすると、不気味な声が聞こえてきました。振り向くと岩場の中に動く顔がありました。
 
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ドーガンバグザ「それに何が入ってるか分かるか?女の魂が入っているのさ。ぐはっはっ〜。お前がなぜここに来たかお見通しだぞ。助けてほしいのか?」
ノト「うん、僕は彼女を助けたいんだ!どうやったら彼女は動けるようになるの?」
ドーガンバグザ「いいだろう。教えてやる。箱の中の魂は長い時間閉じ込められていたので見る事が出来なくなって箱を開けても彼女の元に行く事が出来ない。その箱の中にお前の目を入れて魂に目を与えてやると彼女は助かるさ。」
ノト「ぼ、僕の目を。。。」
ドーガンバグザ「もしくはくじらの目を取ってきてみろ。それでも助けてやろう。ぐっはっは〜。」

そういってドーガンバグザはただの岩になりました。
 
ノトは迷いました。自分の目かくじらの目か。そしてくじらの目を選びました。ノトは大きな大きな鯨の目を取り、箱に入れました。 P1020050
 
すると、どんどんノトの目は見えなくなりました。
ノト「うわわ〜〜〜!!!」
ドーガンバグザ「ぐわはっはっは〜!!!!!残念だったな。お前は罪のないくじらの目を取ってしまった。自分の目を入れるならお前の目を助けてやろうと思ったのにな。」

 

目を手にいれたサハルナの魂は肉体の岩に戻り、ノトのことを聞きました。サハルナは闇にさまようノトの元に向かいました。

サハルナ「ノト!!!!」

そっと手を触れるとノトは微笑んでくれました。

ノト「ごめんよ。僕は自分の目を失うのが怖くて罪を犯してしまった。君の姿が見たかったんだ。でも目を失って気づいたんだ。君の姿は僕の心に焼き付いている。だから声が、この手に触れることが出来るようになれてそれだけで十分さ。」

ノトとサハルナは抱き合いました。

しかしその時も長く続きませんでした。ノトの力がどんどん失われてきました。目を取られたノトは寿命まで抜き取られていたのです。何百年も閉じ込められていたサハルナの魂に吸い取られたノトの魂はもうほとんど残っていませんでした。

 

 
サハルナはくじらの元へ行きました。二人はかつて一緒に戦った親友でした。 P1020104
 
P1020071 サハルナ「お願い、ロジー!彼を助けて!!」
ロジー「久しぶりだな、サハルナ。しかし、奴を助ける訳にはいかない。奴はわしの目を奪おうとした。
サハルナ「わかってる、わかってる。あなたにお願いすることじゃないって。それでも彼は岩の私を愛してくれた。そして助けてくれた。もうあなたしかいないの。」
 
P1020079 ロジーはしばらく考えました。
ロジー「よかろう。お前の涙を見すぎた。久しぶりに会えて嬉しかったよ。お前にこれ以上失うものがあるというのは悲しすぎる。いいかい、サハルナ。よくお聞き。丁度明日満月の夜だ。明日奴を連れてもう一度ここへおいで。わしの涙を100粒集めてまずお前がお飲み。そして口移しを奴に飲ませてやるのだ。一粒につき一回り年を超せる命を授かるだろう。」
 
サハルナ「ああ、ありがとう!!」
ロジー「だが!!お前達はわしの涙を飲んだ事で人魚ではないものになってしまうぞ。それでもいいか?」
サハルナ「ええ、ノトと一緒にいる事が出来るなら何者になろうと構わないわ。」
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次の日、雲が流れ、月明かりが差し込んだ満月を眺めながら、サハルナはノトを抱いてロジーの元へ再び行きました。そして、ロジーの涙を100粒集めてノトに口移しで飲ませました。

ノトはゆっくりと飲み込み、お腹の中でどんどん膨らんでいきました。そして、、、、

ノトはタツノオトシゴになりました。気がつくとサハルナもサンゴになっていました。

ロジー「サハルナ、ノト。これからはずっと一緒にいられるよ。ノトの命はサハルナがこれからは飲ませて上げるんだよ。」

 

 
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その時から、タツノオトシゴとなったノトはサンゴになったサハルナに尻尾を絡ませ、ずっと離れないようになりました。そして、サハルナは満月の夜にたくさんの命の粒を生み、ノトはそれを飲み続けているのです。二人はずっと、ずっと、今でも広い海の中で共に生き続けています。

 

~fin~
 
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