女は空を見つめた。そして眠りについた。 足が溶け宙に浮き、空は女を運んでいった。 しかし心のみで体は地に残ったままだ。 体は逃げられないよう、押さえられていた。 それは誰だか解らない。 誰だか解らない。 そっと心が振り返ると、 自分が消えぬよう、 自分の体が自らを押さえていた。 空の光が閉じてゆく。 心は仕方なく心のみで空へと向かう。 だから体は消えない。 自分が地に居たことを忘れたくないから。 ただ、 地に押さえ付け過ぎて地と溶け合ってしまう。 でも消えはしない。 しないんだ。
逃げる心
2004